久しく連絡を取っていなかった友人から、一本の電話。
「彼女を救ってほしい」
要領を得ない説明。ただ事でない気配を感じて家に向かった。
だが、そこには誰もいなかった。
天井からは、ぶらりと輪のついたロープが下がっているだけで、あとはこの標本と、小さな赤い石が転がるばかり。
机には、レコーダーのような妙な機械に、はめ込まれた青い石。
再生ボタンを押し下げる。聞こえてくるのは静かに狂う男の声。
多分赤い石の方にも何かあるんだろうが、怖くて俺は聴けていない。
赤い石が転がってたのは、ロープの真下だったんだから。
created: 2021.08.29